わが国では変形性膝関節症の潜在患者数は2500万人に昇るといわれ、毎年約8万例の患者さんが人工膝関節の手術を受けております。また、インプラント素材の耐用年数の増加により、米国では50代、60代の若年者の手術も増えてきています。若年で活動性の高い方には、正確にインプラントが設置されなければ、インプラントが早期に弛んでしまいます。この度、手術支援ロボットを導入し、従来を上回る正確性で、違和感のない膝関節の提供を目指します。
掲載:2024年01月29日
更新:2024年03月07日
わが国では変形性膝関節症の潜在患者数は2500万人に昇るといわれ、毎年約8万例の患者さんが人工膝関節の手術を受けております。また、インプラント素材の耐用年数の増加により、米国では50代、60代の若年者の手術も増えてきています。若年で活動性の高い方には、正確にインプラントが設置されなければ、インプラントが早期に弛んでしまいます。この度、手術支援ロボットを導入し、従来を上回る正確性で、違和感のない膝関節の提供を目指します。
TKA支援ロボットCORI™は、主に変形性膝関節症、関節リウマチ、骨壊死などに対する人工膝関節置換術で使用されます。赤外線カメラによりロボットが関節の位置情報をキャッチし、関節表面の形状や関節の動きを、1mm, 1度の精度で読み取ります。これにより骨を切る誤差を1mm, 1度以下のレベルに低減し、インプラントの長期安定性を実現できます。
術中にグラフ化された筋肉や靭帯のバランスを患者ごとに微調整しながら、骨を掘削することが可能で、バランスのとれた違和感のない膝になります。とくに従来の人工膝関節手術では切除せざるを得なかった十字靭帯をすべて温存することが可能で、活動レベルの高い比較的若い方にも満足される膝を再現します。
医師はロボットのハンドピースを把持し、ドリル先端を骨に押し当てるだけで、シミュレーション通りに骨を削っていくことが可能です。したがって医師は膝そのものよりは画面を見ながら手術を行います。掘削予定ではない部分にハンドピースが当てられると、ロボットが自動的にドリルの回転を停止します。
今回のロボット支援は、ヒューマンエラーをなくし、かつ患者さんそれぞれの若い頃の膝の形状や靭帯のバランスを再現することがゴールです。関節外科の分野でのロボット導入は初めてであり、今後さらにロボット支援手術が普及していくものと思われます。
2024年2月12~16 日、米国サンフランシスコで行われた米国整形外科学会(American Academy of Orthopaedic Surgeons 2024 Annual Meeting)にて、ロボット支援人工膝関節置換術の有効性について発表しました(写真左:二木医師、右:伯川理学療法士)。
今回の発表では、両十字靭帯を温存するBCR-TKAは、両十字靭帯を切除するBCS-TKAに比べ、Knee Adduction Moment(KAM)※を減少させることで骨への負担を減らし、より長期間の安定性が期待できることを報告しました。ロボット支援技術の導入により、両十字靭帯を温存するTKA(BCR-TKA)を行うことが可能です。
※ Knee Adduction Moment(KAM):膝関節内反モーメント。膝の内側にかかる力学的負荷のことで変形性膝関節症の進行や予後、インプラントの弛みに深く関係している。
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