人間の足は体重の軸が通るライン(アライメント)が、膝のほぼ中心を通っています。これにより、体重を関節全体の『面』で支えることができます。しかし変形性膝関節症の患者さんは、アライメントが膝の内側(いわゆるO脚)、または外側(いわゆるX脚)に傾いています。内側または外側の関節部分に体重がかり、全体重を局所の『点』で支えている状態になってしまいます。膝の局所に体重がかかるため、その部位の関節軟骨の損傷が加速している場合が多く、さらに膝の変形を助長している状態です。
変形性膝関節症の重症度はレントゲン画像から判断します。軟骨のすり減りや骨棘の程度で重症度を分類します。一般的にgrade2および3に対しては膝周囲骨切り術を、関節の骨のすり減りが大きく不安定(靭帯などの緩みがある)なタイプのgrade 4 および5 対しては人工膝関節置換術を行います。ただし、当院では手術の適応は患者さんのご要望も考慮しながら決めております。