脊髄刺激療法(SCS)のしくみ
脊髄刺激療法(SCS)では、脊髄の硬膜外腔に直径1.4mm程度の、細くて柔らかい電極(リード)を挿入し、臀部もしくは腹部に植え込んだ刺激装置(ペースメーカに類似したIPG)に接続して、脊髄に弱い電気刺激を与えます。
痛みの感覚は、痛みの信号が神経から脊髄を通って脳に伝わることで認識されます。SCSを行い、脊髄に微弱な電気を流すことにより、痛みの信号を脳に伝えにくくします。
脊髄刺激療法(SCS)の主な対象疾患
SCSは、神経の異常による痛みや血流障害による痛みなど、慢性難治性疼痛に効果があると言われています。
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎手術後症候群(FBSS)
- 末梢血流障害(ASO、バージャー病、レイノー病など)
- 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
- 帯状疱疹後神経痛
脊髄刺激療法(SCS)の効果
SCSにより、痛みが半分程度にやわらぐと言われています。
痛みが緩和することで、鎮痛薬を減らして副作用を軽減できたり、夜間熟睡できる、子供を抱っこできるようになる、など、生活の質が向上することが報告されています。
※SCSは痛みを緩和するためのものであり、痛みの原因を取り除く治療ではありません。
※効果には個人差があるため、通常、効果を判定するための刺激試験(トライアル)を行います。
SCSでは、電極(リード)を試験的に挿入し、試験刺激期間中に患者さんご自身で効果を判定することができます(トライアル)。
試験刺激期間で効果を得ることができたら、体内に刺激装置を植込みます(本植込み)。
試験刺激期間で効果を得ることができなかった場合、挿入したリードを抜去します。
- 外来
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SCSで痛みを和らげ、困っていることを改善できるか、医師にご相談ください。
- トライアル手術前日
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入院 |
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トライアル手術の前日に入院となります。
※ 食事は夜9時まで可能です。
※ 飲水制限はありません。
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- トライアル手術
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SCSの効果を確かめるために、リードを挿入する手術を行います。
手術は局所麻酔下で行われ、手術中に医師と相談しながらリードの位置を決定します。
手術後は、病棟で体外式刺激装置を使用します。
※病室に帰室後から飲水を再開できます。食事は夕食から再開となります。
※ベッド上での安静後、帰室後30分後から歩行できます。
体外刺激装置の刺激の条件を変えながら、4日ほど治療の効果を確認します。
- 術後4日
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- 外来
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退院後、普通の生活を送っていただきます。
普段の生活でも、痛みの感じ方に変化があったかどうか、トライアル手術後の初回外来でお伺いします。
トライアル手術後の生活で、効果が確認できた場合、刺激装置の本植込み手術を行います。
- 本植込み手術前日
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入院 |
… |
本植込み手術の前日に入院となります。
※ 食事は夜9時まで可能です。
※ 飲水は手術当日の午前7時または10時まで可能です(手術の時間によって異なります)。
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- 本植込み手術
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体内に刺激装置を植え込む手術を、全身麻酔下で行います。
手術後は、ベッド上で安静にしていただき、麻酔から覚醒したら状況に応じ離床していきます。
※病室に帰室後、麻酔から覚醒し、お腹が動いてから飲水を再開できます。飲水再開後、問題なければ状況に応じ、食事も再開となります。
- 術後1日
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起立・歩行が可能になります。
SCSに関する安全情報の迅速な提供のために、個人情報をご登録いただきます。
外出先で医療機関を受診されたときなど、SCSに関する情報が必要になったときのために、手帳とカードをお渡しします。
患者用プログラマ(コントローラー)の設定、使用方法を説明いたします。
- 術後4日
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- 外来
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ご自身で患者用プログラマを操作して、刺激をコントロールしてください。
術後2~3週後くらいに退院後初回外来となります。
何かお困りのことがある場合は、随時受診してください。
※ 上記は一般的な予定であり、個人差があります。
手術までの流れをご一読して頂き、整形外科外来にて金子医師の診察をお受けください。