手術・治療のご案内

肩腱板断裂とは

肩の構造 ※ 画像をクリックすると拡大されます。

肩腱板とは、肩甲骨と腕の骨(上腕骨)をつないぐ板状の腱で、腕を上げたり下げたりするときに、上腕骨頭が肩甲骨の関節窩という面とずれないように保つ、つまり肩関節の支点を保つ動きがあります。

腱板は、肩関節を安定させ動かすために重要なものなので、損傷や断裂によって、引っかかりなど、肩の動きに支障が出たり、痛みが生じることがあります。肩腱板断裂は、特に腱の老化が始まる40歳以上の人に多く見られます。

中高年者の肩痛の原因として多い疾患に、五十肩があげられます。五十肩は肩関節の動きが大きく制限されるという特徴がありますが、肩腱板断裂では関節の動きがあまり制限されないことが多く、腕の上げおろしで痛むという特徴があります。

怪我の原因

肩腱板断裂の原因は「急性断裂」「変性断裂」の二つに分かれます。

急性断裂
転んだり、重いものを持ち上げたときなど、外傷によって一気に断裂が起こることがあります。
変性断裂
多くの場合、肩の使いすぎによる腱板のすり減りや、年齢を重ねるにつれて起きる腱板の老化によって断裂が生じます。野球やテニスなどの肩を使うスポーツを長年やっていたり、洗濯物を干したり、布団の上げ下ろしなどの家事も原因になる場合があります。

肩腱板断裂の主な症状

肩の挙上 腕の上げ下ろしで、顔から胸の高さで痛む

  • 肩を上げ下ろしするときに、痛みや引っ掛かりがある。ゴリゴリという音がすることもある。
  • 反対の腕で痛い方の腕を持ち上がれば上がるのに、自力で持ち上げようとすると、痛くてできない。
  • 転んだり、腕をひねったりなどの、症状の出るきっかけとなる外傷があった(外傷がない場合もある)。
  • 特に運動時や夜間に肩が痛む。

急性断裂の場合、断裂音とともに痛みが走り、腕が持ち上がらなくなります。2、3週間痛みが続きますが、徐々に落ち着きます。

これらの症状は、四十肩や五十肩と似ており、安静にしていると痛みが落ち着くことがあるので、治療せずに放置してしまう人が多くいます。

肩腱板断裂の診断・治療

診察・診断

腱板はX線検査だけでは診断できませんが、MRIや超音波検査で診断することができます。

肩腱板断裂の患者さんでも、長期にわたり五十肩と診断されていることがあります。五十肩では、腕が上がらないだけでなく、横にも開かなければ後ろにも回らないというように、腕の動きが強く制限されるところが肩腱板断裂の症状と異なります。また、五十肩では1年以上痛みが続くことはまずありませんので、このような場合は肩腱板断裂が疑われます。

保存治療

多くの患者さんは注射や薬による保存的治療で痛みが軽くなりますが、筋力低下は手術をしないと改善しない場合が多いです。

安静
三角巾を使用し、肩関節を動かさないように固定します。肩を使うスポーツや重労働の制限をされる場合があります。
投薬
鎮痛剤や湿布などで痛みを鎮めます。
注射
炎症を抑えるステロイドなどの注射を行います。
リハビリ
強い痛みが取れたら、肩甲骨や脊柱、骨盤などの動きを良くするリハビリや、残存している腱板の働きを良くするリハビリを開始します。
手術治療

肩の痛みや動きの悪さなどの症状が、保存治療で改善しないときは手術が必要になります。

関節鏡下に断裂した腱板を上腕骨のできるだけ本来の付着部に縫い付けます。
※皮膚の切開は通常4ヶ所で、約1cmの切開を加えます。
※断裂が大きい場合、完全には修復できないことがあり、部分修復となることがあります。

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