手術・治療のご案内

ブロック療法とは

ブロック注射 各々の神経痛、関節痛に対して局所麻酔剤およびステロイド剤を目的の神経や関節に直接、またはその近くに注入します。一時的に患部そのものの痛みを軽減させるだけではなく、痛みによる反射的な血管の収縮や筋肉の緊張を抑えて2次的な痛みも取り除きます。この効果は、麻酔剤の効果が切れた後も続きます。また、その効果を判定することで診断に重要な役割を果たします。

ブロック療法の種類

下肢の痛み部位
症 状
腰椎椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症などの腰や下肢の痛み
適応ブロック
仙骨裂孔ブロック / 硬膜外ブロック
治療の流れ
1週間に1回の頻度で、4~5回程度の治療 効果の判定 必要であれば神経根ブロック、椎間板ブロック等を追加 手術の必要性の有無を検討

上肢の痛み部位
症 状
頚椎椎間板ヘルニア、頚部脊柱管狭窄症、頚肩腕症候群など頑固で強い頚背部痛や頭痛、上肢の痛みやしびれ等
適応ブロック
星状神経節ブロック / 頚部硬膜外ブロック
治療の流れ
1週間に1回の頻度で、4~5回程度の治療 効果の判定 手術の必要性の有無を検討

主なブロック療法

仙骨裂孔ブロック

腰椎椎間板ヘルニアおよび脊柱管狭窄症においてもっとも頻繁に行われているブロック療法です。その理由として、患者さんへの負担が少ない(あまり痛くありません)、合併症が少ない、効果が判定しやすい、手技的に寛容であることなどがあげられます。実際、2~3回程のブロックでよくなられる患者さんをよく見受けます。

治療の流れ

血圧測定後、ベッドでうつぶせになりおなかの下に枕を入れます。尾骨近くの仙骨裂孔から針を刺入して仙骨から下部腰椎の硬膜外腔に麻酔剤およびステロイド剤を注入します。手技的には1分程で終わりますが、その後20分間安静をとり、効果を確認のうえ帰宅して頂きます。

硬膜外ブロック

硬膜外ブロックとは脊髄の外側に存在する硬膜外腔に薬液(局所麻酔薬およびステロイド剤)を注入して神経をブロックする方法です。

治療の流れ

悪いほうを下にした側臥位で背中を丸くしてから消毒を行います。目的のレベルを確認したのち穿刺部に局所麻酔をして、硬膜外腔まで針を進め薬液を注入します。操作自体は10分弱ですがブロック後は約1時間ベッド上で安静にしていただき、効果を判定したのち帰宅していただくことになります。また入院している患者さんの場合はカテーテルを挿入して持続注入する方法もございます。

星状神経節ブロック

星状神経節とは頭部、肩、腕などを支配する交感神経の集まりで喉仏の脇に左右1対あります。血液の流れが悪くなると、栄養や酸素が不足して神経が弱まり、頭、頚部、肩や上肢の痛み、痺れ、凝りなどの他、自律神経失調症を引き起こします。星状神経節ブロックは交感神経の集まりに注射することで血液の流れを改善、栄養や酸素を弱った神経に供給して痛みを改善していきます。

治療の流れ

注射は30秒ほどかかりますが、痛みはほとんどありません。その後20分程安静にしていただきます。注射後は一時的に顔がほてったり、瞼が下がり、充血して瞳孔が縮小することがあります。

神経根ブロック

神経根ブロックは、仙骨裂孔ブロックや硬膜外ブロック等で改善のみられない強い神経痛に対して行います。造影剤を注入することで神経の走行を確認、原因神経の特定ができます。

治療の流れ

レントゲン透視室でうつぶせになり、皮膚に麻酔をした上で行います。所要時間は15分ほどですがその後約1時間の安静が必要となります。主に入院患者さんに行います。

椎間板ブロック

椎間板が原因でおこる腰痛に対して椎間板そのものに針を刺し、局所麻酔薬およびステロイド剤を注入する治療方法です。

治療の流れ

神経根ブロック同様に透視室で皮膚に麻酔をしてから行います。何度か体の方向を変え、モニターで部位を確認しながら椎間板の真中に針を進めていきます。所要時間は15分程でその後1時間、安静にしていただきます。主に入院患者さんに行います。

椎間関節ブロック

椎間関節ブロックは腰椎の関節部分に針を刺して局所麻酔剤およびステロイド剤を注入します。適応症例は椎間関節症がレントゲン写真により確認され、身体を動かした時のみ特定の部位に強い痛みがある場合、特に適応となります。

治療の流れ

レントゲン透視室でうつぶせになって皮膚に麻酔をしてから行います。所要時間は5分程度でその場で効果を判定します。

患者さんへ

いずれにしてもブロック療法とは、飲み薬や理学療法、運動療法などでも治らず、日常生活に支障があるような場合に行います。一般的保存療法と手術的治療との中間的な治療と位置付けることができます。手術適応のない、または、患者さんが手術を希望されない場合も保存的治療の一つとして重要な役割を果たします。

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