手術・治療のご案内

FEL(FESS)(Full-Endoscopic Laminectomy:完全内視鏡下腰椎椎弓切除術)とは

FESS(フェス)は"Full-Endoscopic Spine Surgery"の略で、日本語にすると「完全内視鏡下脊椎手術」となります。直径7mmの微小内視鏡を使用して行う最小侵襲手術の総称で、皮膚切開が小さく、身体にやさしい手術方法です。

FELは"Full-Endoscopic Laminectomy"の略で、FESSの中でも主に腰部脊柱管狭窄症に対して行われる手術となります。

FEL(FESS)で用いる内視鏡用外筒について

通常のFESSで用いる内視鏡用外筒は直径7mmですが、FEL(FESS)で用いる外筒は直径10mmです。太く短くなっているため、従来使えなかった太いドリルや大きな鉗子類が使えるようになりました。

7mmの内視鏡を使ったFELも可能ですが、細いドリルしか使えないため手術時間がかかります。そのため椎間孔や外側陥凹など部分的狭窄症に対して主に用いられています。10mmの太い内視鏡は太いドリルを使用できるので、馬尾症状などを呈する中心性狭窄(脊柱管の広範囲の狭窄)に対して主に適用されています。

従来のFESSとFELの内視鏡外筒
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FEL(FESS)とMELの違い

当院ではこれまで腰部脊柱管狭窄症の治療はMEL(Microendoscopic Laminectomy)という手術方法で行ってきました。しかしFESSの技術及び機器の進歩に伴い、2019年から腰部脊柱管狭窄症の治療もFESSで行っており、これをFELと呼んでいます。FELはMELに比べて、以下のような点が違います。

  • FELの皮膚切開範囲
    FEL用の内視鏡外筒の直径は10mm程度(通常のFESSが7mm、MELが16mm)ですので、皮膚切開が小さくすみます。術者の指の太さと比較すると皮膚切開の大きさ(約10mm)が分かりやすいです。
  • 手術中生理食塩水を還流させて手術を行うので瘢痕組織が形成されにくいです。
  • 内視鏡の視野の違い ※ クリックすると拡大されます。
    術中の出血は環流している生理食塩水で洗い流されるので、硬膜など組織が明瞭に見えます。硬膜損傷など、手術中に起こりうる合併症の頻度が低下する可能性があります(この点に関しては当グループより国際誌に論文発表しております)。
  • 椎間関節の角度や椎間関節の関節症変化が強い患者さんは、除圧のためでも固定術を勧められることがあります。その点FEL(FESS)では、椎間関節を壊すことなく椎弓切除が行えるため、固定術を回避できる可能性があります。
  • ドレーン(切開した部分に術後溜まった血液を体外へ排泄するチューブ)が手術翌日に抜去されるので、3泊4日で退院が可能です。
  • これまで椎間孔狭窄(脊柱管の外側で神経根が脊椎外へ出ていく部分での狭窄)には固定術を選択する病院がほとんどでした。当院では以前からFESSで椎間孔狭窄の治療を行ってきましたが、10mmの外筒の内視鏡を用いることで手術時間が短縮しています。更に除圧の範囲を広く行えるので、椎間孔の長いL5/S1椎間孔狭窄などでも効果を発揮しています。

FEL(FESS)の症例

L4/5 腰部脊柱管狭窄症

L4/5 腰部脊柱管狭窄症 ※ 画像をクリックすると拡大されます。

術後MRIでは脊柱管が拡大し、馬尾がよく見えるようになりました。

L3/4 腰部脊柱管狭窄症

L3/4 腰部脊柱管狭窄症 ※ 画像をクリックすると拡大されます。

術後MRIでは脊柱管が拡大したのと、椎間関節が温存されていることがわかります。

L5/S1 椎間孔狭窄症

L5/S1 椎間孔狭窄症 ※ 画像をクリックすると拡大されます。

術後CTでは椎間孔が拡大されていることがわかります。右下肢痛も改善しました。

FEL(FESS)の手術解説動画

FEL(FESS)の入院から退院までの流れ

手術前日
入院 術前の準備をします。
※ 飲食は夕食まで摂取可能です。
※ 飲水は夜9時迄可能です。
手術当日
準備 注射・点滴などの事前準備を行います。その後、ストレッチャーで手術室へ移動します。
手術 手術を行います。
術後 病室へ戻ります。
※ 飲食・飲水はお腹が動くまで不可。立ち上がったり、歩行は可能です。
術後1~3日
退院
術後1週
軽作業が可能になります。

※ 上記は一般的な予定であり、個人差があります。

FEL(FESS)に関するQ&A

Q01

入院期間は何日ですか?


回 答

10mmの内視鏡外筒を用いるFELは4~5日(術後2~3日)、7mmは3~4日(術後1~2日)です。入院日数は、手術前日の入院から退院までの日数になります。あくまで目安になりますので、患者さんの状態によっては長くなる場合もあります。

Q02

保険適用ですか?


回 答

はい、保険適用です。

Q03

入院・手術費はどれくらいですか?


回 答

入院・手術費について」をご確認ください。

Q04

手術後、歩けるようになるまで何日かかりますか。


回 答

標準的な予定では手術翌日から歩けるようになります。

Q05

退院後、すぐに仕事に復帰できますか。


回 答

社会復帰の目安は「入院スケジュール」の通りですが、退院翌日からお仕事に復帰される方もいらっしゃいます。ただし、手術後すぐに腰に負担をかけるとヘルニアが再発する恐れがあり、なるべく安静にして頂くのが望ましいです。

FEL(FESS)に関する論文

FELに関する論文を当グループから発表しております。

FEL(FESS)を受けられた患者さんの声

当グループではホームページでの「患者さんの声」掲載を中止致しましたが、ご希望の方にはメールまたは郵送にて送付するサービスを行っております。詳細は「患者さんの声」ページをご覧ください。

FEL(FESS)を希望の方はこちら

FEL(FESS)の欠点として術者がこの手術手技を習得するまでにかなり時間がかかることです。当グループでは古閑医師と竹林医師が、この技術を習得しております。FEL(FESS)での治療の可能性を知りたい場合は、古閑医師または竹林医師の外来診察にお越しください。 ※古閑医師は 岩井FESSクリニックでのみ診察を行っております。

一歩先のスタンダードへ 

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当院は以下の認定病院です。
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